COLUMNコラム

高断熱なのに寒い家?2026.01.14

― ダウンジャケットと「チャック」の話 ―

こんにちはココチエ一級建築士事務所の矢倉です。
「高断熱・高気密の家です」

家づくりの打合せで、こうした言葉を耳にすることは少なくありません。
しかし実際には、

・数値は良いはずなのに、思ったより寒い
・エアコンが効きにくい
・部屋ごとの温度差が大きい

といった声が出てしまう住宅も、残念ながら存在します。
その違いは、**断熱と気密の“考え方”**にあります。



断熱=ダウンジャケット

気密=チャック

住宅性能を、とてもシンプルに例えるとこうなります。

・断熱=ダウンジャケット
・気密=チャック

どんなに高性能なダウンジャケットでも、
チャックが開いたままでは冷たい空気が入り、体は冷えてしまいます。

家もまったく同じです。
いくら断熱材の性能が高くても、
隙間(=気密)が確保されていなければ、
暖かさは外へ逃げ、冷気が入り込んでしまいます。



UA値は「設計」でつくれる

C値は「施工」でしかつくれない

住宅性能を語る際によく出てくる数値があります。

・UA値:断熱性能(熱の逃げやすさ)
・C値:気密性能(家の隙間の量)

ここで、非常に重要なポイントがあります。

UA値は設計でつくれます。
しかし、C値は施工でしかつくれません。

UA値は、
断熱材の種類・厚み・窓性能などをもとに、
図面上で計算することができます。

一方でC値は、
実際に建てた家を測定しなければ分からない数値です。

つまりC値には、その会社の
・現場の施工精度
・職人の技術
・家づくりへの姿勢

が、そのまま表れます。



なぜ「全棟気密測定」が重要なのか

「気密は大事です」と言うこと自体は簡単です。
しかし、本当に大事にしているかどうかは別問題です。

そこで重要になるのが、

・全棟気密測定
・数値の見える化
・施工の標準化

測らなければ、良いか悪いかは分かりません。
測って、数値として残すことで初めて、

「この家は、きちんとチャックが閉まっている」

と言えるのです。



高気密は、住み心地を裏切らない

高気密が確保された住宅は、

・エアコンが効きやすい
・部屋ごとの温度差が少ない
・隙間風がない
・壁体内結露のリスクが低い
・性能が長期間安定しやすい

といったメリットがあります。

これらは、カタログではなく、
住んでから実感できる性能です。



本当に快適な家に必要なのは

高断熱か、高気密か。
どちらが大事か、という話ではありません。

大切なのは、

断熱性能が、きちんと発揮される状態をつくること

そのために欠かせないのが、気密です。

どんなに良いダウンジャケットでも、
チャックが開いていては意味がない。
家づくりも、同じです。



数値の裏側まで、誠実に

性能は、言葉ではなく結果で示すもの。
だからこそ、

・全棟気密測定
・性能数値の開示
・施工精度の積み重ね

を、当たり前のこととして続けています。

それが、本当に「暖かい家」をつくる、
一番の近道だと考えています。