COLUMNコラム
お家を建てようと思った時にまずしっかり考える人生の三大支出。ココチエ一級建築士事務所。2025.05.26
安曇野市を拠点に注文住宅の設計・施工しています。
安曇野市の工務店で木造住宅の設計事務所をしているココチエ一級建築士事務所の矢倉です。このコラムでは少し皆様のお家づくりに関してお役に立てる知恵袋的な情報をお届けできればと思っています。よろしくお願い致します。
さて今回は、人生の三大支出のうちの一つ、老後資金。
住宅ローンを検討すると、だいぶ先にもなる人もいますがここの人生の三大支出・住宅資金・教育資金・老後資金をしっかり検討しなくてはいけません。
今回は老後資金について、数年間に問題になったニュースから【老後2000万円問題】について、少し思い出してみましょうという話。
「老後2000万円問題」とは、2019年6月に金融庁の金融審議会市場ワーキング・グループが発表した報告書「高齢社会における資産形成・管理」が発端となり、世間で大きな話題となった問題です。
「老後2000万円問題」の概要
この報告書では、以下のようなモデルケースを想定して試算が行われました。
- モデルケース: 夫が65歳以上、妻が60歳以上の「高齢夫婦無職世帯」
- 収入と支出の平均:
- 毎月の実収入(年金など): 約20.9万円
- 毎月の実支出: 約26.4万円
- 毎月の不足額: 約5.5万円
この月約5.5万円の不足額が、夫が95歳、妻が90歳になるまでの30年間続くと仮定すると、**約2,000万円(5.5万円 × 12ヶ月 × 30年 = 1,980万円)**が不足するという試算結果が示されました。この「約2,000万円」という数字が大きく取り上げられ、「老後2000万円問題」として広まりました。
なぜこの問題が注目されたのか?
この問題がこれほどまでに注目された背景には、いくつかの要因があります。
- 平均寿命の延伸: 日本人の平均寿命が延び、「人生100年時代」と言われる中で、老後期間が長期化しているため、より多くの老後資金が必要になるという現実が示唆された。
- 退職金の減額傾向: 企業の退職金制度が見直され、退職金の支給額が減少傾向にあること。
- 年金制度への不安: 少子高齢化が進む中で、将来の公的年金だけで生活を維持できるのかという国民の漠然とした不安が強まっていたこと。
- 金融庁という公的機関からの発表: 国の機関である金融庁が正式な報告書として発表したことで、その内容の信頼性が高く受け止められ、多くの人が「自分にも当てはまる」と感じた。
誤解されやすい点と注意点
「老後2000万円問題」は、多くの人に老後資金への意識を高めるきっかけを与えましたが、同時にいくつかの誤解も生んでいます。
- 「全員に2000万円不足するわけではない」: この2000万円という数字はあくまで「平均的な高齢夫婦」をモデルにした試算であり、個人のライフスタイル、収入、支出、年金受給額、退職金、住宅ローンの有無などによって、必要な老後資金は大きく異なります。生活費が平均より少ない人や、年金収入が多い人などは、2000万円も必要ないケースもありますし、逆にそれ以上に必要となるケースもあります。
- 「金融資産からの取り崩しを前提としている」: この試算は、不足分を「金融資産を取り崩す」ことで補填するという前提です。必ずしも「2000万円を貯金しておかなければならない」という意味ではありません。
- 「インフレは考慮されていない」: 当時の試算にはインフレの影響が考慮されていません。物価が上昇すれば、現在と同じ生活水準を維持するためには、より多くの資金が必要になります。
- 「介護費用や医療費などの特別支出は考慮されていない」: 日常生活費の不足額のみであり、介護費用や予期せぬ医療費、住宅のリフォーム費用など、老後に発生し得る大きな特別支出は含まれていません。これらを考慮すると、さらに多くの資金が必要になる可能性もあります。
私たちができる対策
「老後2000万円問題」は、個々人が自身の老後資金について真剣に考え、自助努力の必要性を認識するきっかけとなりました。具体的な対策としては以下のようなものが挙げられます。
- 自身のライフシミュレーション: 自身の将来の収支やライフイベントを具体的に予測し、本当に必要な老後資金を算出する。FP(ファイナンシャルプランナー)に相談するのも有効です。
- 早期からの資産形成: NISA(新NISA)やiDeCo(イデコ)など、税制優遇のある制度を活用し、少額からでも長期・積立・分散投資を始める。
- 支出の見直し: 無駄な支出を削減し、貯蓄や投資に回せる資金を増やす。
- 働き方の多様化・長期化: 定年後も健康であれば、再雇用やアルバイト、副業などで収入を得ることを検討する。
- 健康寿命の延伸: 健康を維持し、医療費や介護費の負担をできるだけ抑える。
「老後2000万円問題」は、私たちに老後資金への備えの重要性を再認識させる警鐘として捉え、各自の状況に合わせた具体的な行動を起こすことが求められています。
住宅建築の際に、しっかり考えておきたい人生の三大支出。
家づくりのタイミングがその【機会】なのです。
綿密な資金計画から、将来のライフシミュレーションまで、お家づくりのご相談時に、その考えられる問題の解消をしておきましょう!


